家に帰り、玄関を開けると暖簾がかかっていた。
せまいアパートの為、廊下は僕の荷物であふれかえっている。
それを外から見られまいと妻が作ったのである。
そして彼女は僕に言った、
『ちょーどいい大きさのがあったわ、汚い布やけど、ないよりましやろ、
新しいの買うまでこれでいいやん。』 と。
どうやら僕の荷物の山から発見したらしい・・・
確かに古い布だが、この布は『芭蕉布』って言うんです。
すごく高い布なんです。
値段を教えると、『何で、こんなんが?絶対いらんわ!』 と。
古布好きなら誰もが欲しがる貴重な布、芭蕉布。
好きでもない人には、たんなる汚い布。
価値観は人それぞれ全く違うもの、だからおもしろい。